虫歯の根本的な原因は2歳半までにあった!

赤ちゃんの口の中には、元々虫歯の原因菌は存在していません。生まれてくるときには、ゼロ。虫歯というものは、感染症のひとつだといわれています。一生懸命歯磨きを頑張っているのに、虫歯の悩みが尽きない人はいませんか?虫歯のなりやすさは、2歳半までに決まるという事実をご存知でしたか?

虫歯の原因は赤ちゃんの頃に

実は昨日、中学生になる長女の虫歯を発見してしまいました。2年前に海外へ来てから、学校での歯科検診を受けていません。中学生にもなると、子供の口の中を見ることもなくなります。気づいたら、一番奥の歯に黒い虫歯が広がっていました。まだ大きくはなっていないのですが、ショックでした・・・ついでに次女の口の中をのぞいてみたのですが、虫歯は見当たりませんでした。彼女曰く、お姉ちゃんは自分よりもちゃんと丁寧に歯磨きをしているとのこと。同じ環境に育つこの二人の間に、どのような差があるというのでしょうか?

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思い当たる原因は、二つあります。一度目は、1歳頃のことでした。おばあちゃんが家に遊びに来た時のこと。口の中の氷をコップの中に落としたその音にケラケラ笑うので、おばあちゃんは何度もそれを繰り返した挙句・・その氷を娘の口の中に入れたのです。!!!何も言えなかった嫁でした。これが娘の最初の感染でした。二度目はまだ2歳だった頃。デパ地下を歩いていたら、見知らぬ年配の女性が自分が食べていたアイスクリームをそのままスプーンにとって「はい~!」と食べさせてくれたのでした。虫歯菌は、口移しが原因だということはもちろん知っていました。だから、このときのことは今でも忘れられません。

虫歯の原因菌が感染する時期と対策

赤ちゃんの歯が生え始める6か月の頃から感染は始まり、1歳7か月から2歳7か月の間がもっとも定着しやすい時期だといわれています。感染の時期が早ければ早いほど、虫歯ができやすい傾向にあります。感染経路で最も多いのが母親。半分以上の確率で母親からの虫歯の原因菌をもらっています。その次に多いのは父親。つまり、母親と父親がとくにこの時期、ちゃんとした認識をもって子供に接することが大切です。おばあちゃんやおじいちゃん、見知らぬ人からのリスクも、もちろんありますが、とくにこの時期に周囲の大人としてできる対策を、挙げていきます。

対策1.スプーンや箸などを共有しない

スプーンや箸などには、使った人の虫歯の原因菌がついています。それくらいのことで神経質にならなくても、と軽い気持ちでいる人は多いと思いますが、これは科学的にも証明されていることです。歯ブラシの共有なども、もちろんしてはいけません。ク口の中に入るものは絶対に共有しない、という意識が大切です。

対策2.口移しで食べ物を与えない

とくに昔の人は、口移しは当たり前だった?のかもしれません。私もよく、親から言われたものです。「小さいころは食べ物を噛んであげていたんだよ。」私は知っているだけに、そのたびにゾッとしたものです。愛情表現のひとつ、くらいにしか思っていないのでしょう。いくら子供がまだ噛めないとしても、大人が自分で噛んだ食べものを口移しで与えてはいけません。

対策3.お母さん、お父さんの口の中を綺麗にする

スウェーデン・イエテボリ大学での研究では、口の中に虫歯菌が大量にある母親でも、虫歯治療や歯のクリーニングなど適切な処置をおこなうと、子供への虫歯菌の感染率が大幅に下がったとのデータがあります。

対策4.甘いものを控える

砂糖の入ったお菓子やジュースなどはとくに、虫歯の原因菌の数を急激に増加させます。いったん菌に感染すれば、それを増加させる環境を与えてしまうことになります。

対策5.周囲に理解をしてもらう

これは私自身の経験からの反省です。ダメだということを、おばあちゃんにも見知らぬ人にも伝えられなかった私に責任があります。人間関係を円滑にするということは大切ですが、一時的な感情や雰囲気と、小さな子供の長い一生を天秤にかける必要はまったくありません。ダメだということをしっかりと伝えましょう。

虫歯の原因:先天的な要素

エナメル質形成不全

「うちの家系は歯が悪い。」虫歯が多いことを、遺伝だと考えている人は少なくないのかもしれません。自分には原因がない、と責任逃れをしたい気持ちがあるのだと思いますが、虫歯の原因は、後天的なものが圧倒的に多いのは否定できません。しかし、生活環境、食生活、食習慣など、後天的な環境要因による虫歯が多い一方で、先天的な原因も存在します。エナメル質形成不全とよばれるものです。エナメル質とは、歯の一番外側にある体の中で最も硬い組織です。虫歯はこの硬いエナメル質から始まるのですが、この最も硬い部分が先天的に形成不全をおこしている場合、虫歯へのリスクは高まります。

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生まれる前、お母さんのおなかの中ですでに歯の石灰化が始まっています。一番早い歯は、なんと胎生14週。お母さんが妊娠に気づくか気づかないかというそんな時期に石灰化が始まるのです。赤ちゃんが生まれるときにはすでに、子供の歯の全てとさらに、6歳臼歯とよばれる6歳の頃に生えてくる大人の奥歯が石灰化をはじめています。

エナメル質形成不全は、子供の歯にも大人の歯にもみられます。歯の白斑、黄ばみ、表面の凸凹など程度はさまざまです。妊娠中の母親の疾患や服薬、出産時の障害、早期産、生後1~3年以内の疾患や疾患に伴う抗菌薬の投与、フッ化物の利用が原因として挙げられていますが、世界的にも決定的な原因はわかっていません。妊娠中の母親や、乳幼児期のどちらか一方に原因があるというのではなく、複数の要因が複数に絡み合っていること。またエナメル質形成不全は、帝王切開の出産、妊娠28週以降の母親の疾患、妊娠後期の3回を超える超音波検査、生後一年以内の抗菌薬の服用、低体重出産、母乳育児が6か月以内の場合、罹患率が高くなるという報告も近年の調査にはあります。

さらに、チェルノブイリの原発事故による影響の中でこのエナメル質形成不全が報告されています。放射能の影響によって歯のエナメル質の形成不全がおきること、早期の複数におよぶ虫歯がみられること、歯の状態や位置以上がみられることが挙げられています。歯や骨はストロンチウム90を吸収します。放射能に曝された子供は生後一年の間に病気になることも多く、生後二年になると虫歯ができはじめ目立つようになっていくこともわかっています。

虫歯予防は早い時期から

このように虫歯の根本的な原因は、赤ちゃんの頃にはすでに始まっています。予防できることは、早いうちから対処するに越したことはありません。虫歯の原因菌に感染してしまって口の中に定着してしまったら、菌を増やさないように甘いものを控えたり食事や習慣に気をつけるなどの対策を徹底するほかに方法はありません。まずは、子供に対する大人としての意識を変えていくことから始めてみましょう。

Dr.Olha V.Horishna チェルノブイリの長い影<研究結果の要約:2006年最新版>

桜井敦朗他エナメル質形成不全(MIH)J Health Care Dent2014;14;6-12

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